「採用難であるにも関わらず、残業を抑制し、総労働も減らしながら、売上、利益を伸ばしていかなければならない・・・」

今までのように労働力のみに頼った成長は立ちいかなくなっている。
生産性向上は殆どの企業に突き付けられた共通の課題となっている。

「働き方改革」は生産性向上にあらず!

「働き方改革」の必要性自体は共通の認識となっており、既に各種取組を行っている企業も多い。

「働き方改革」の取組例

  • 残業抑制
  • フレックスタイムやテレワークなどの正社員の就業規則の改善
  • パートタイムや有期雇用等の勤務体系の見直し

働き方改革の取組によって社員の勤務時間の抑制は実現できるだろう。 また「働き方」を見直す事で、社員のモチベーションが向上したり、無駄な仕事を削減していこうという意識が強くなったりといった意識面での副次的効果も期待でき、結果として生産性向上に寄与する可能性はあるが、この様な取組そのものが直接的な「生産性向上」の取組とはいえない。

次に「生産性向上」というキーワードの元、昔ながらの取組としてあるのが事務処理をシステム化するといった取組である。
もちろんこれらの取組が間違いという訳ではないが、これらの取組は顧客への付加価値そのものを高める事はない。すなわちあくまでも「業務効率化」をしているに過ぎない。

生産性とは

『生産諸要素(労働・資本など)の有効利用の度合い』と謳われている。
生産性要素の有効利用の度合いが高いほど、生産性が高いと言える。 つまり、より少ない労力で、より多くの価値を生む事が生産性を向上させる事である。

一見すると「働き方改革」や「事務処理のシステム化」といった取組は労働力を縮小されるので価値提供能力が落ちない前提であれば生産性向上の取組という事ができる。 しかし、殆どの企業の場合価値提供能力を維持-向上させつつという大前提があるが故に悩むのである。

 

「価値提供能力を高める」だけの取組も生産性向上ではない。

一方「価値提供能力」を高める取組においては何が思い浮かぶであろうか?
一般的には高度成長期で自社商品の需要が高ければ供給能力を高めるだけで、企業の価値提供能力は高まる。
即ち製造業であれば生産設備の増強や生産管理の見直しという取組である。 しかし今の日本においてこの様な商品を保有する企業は少なく、また需要は一過性のものである可能性も高い。

企業における「価値提供能力」の「価値」とは、あくまでも「市場-顧客」が決める事であり、同様の「価値」を提供する「競合」も踏まえた相対的な取組となってしまう事に難しさがある。
更には、インターネットの加速度的な活用によって「デジタル・ディスラプション」・・・ITテック企業によって自社の価値提供の力が突然無効化されてしまう恐怖もある。

サービスを取り巻く業務の多様化

自社が自らイノベーションを起こし、あらたな市場を創造する事によって自社の価値提供能力を飛躍させる事は 経 営者であれば誰しも夢見る事ではあるが、 残念ながら殆どのイノベーションは属人的であり、偶発的であり、連続して、仕組としてイノベーションを計画する事は困難である。

需要が旺盛でなく、イノベーションを起こすのが困難である前提の中で、多くの企業の価値提供の力を高める取組は「営業効率化」「製品改良」「品質改善」「原価低減」といった範囲に留まっているのが現状ではないだろうか?
またこれらの取組自体を行う行為取組自体が人的労働力に頼っている矛盾に気づいている経営者も多い筈だ。

これまでのまとめ

  • 労働力に頼った価値提供からの脱却
  • 労働時間を削減する為の施策は明確
  • 価値提供能力を高める取組は有効策が見いだし辛い
  • 労働時間(労働力)を減らし、同時に価値提供能力を高める取組に関しては更に有効策が見出し辛い

「生産性向上」と「DX」

近年になり「DX(デジタル・トラスフォーメーション)」という言葉を良く耳にする。あるいは既にDXに取り組んでいるという企業も多くあるだろう。

デジタル・トランスフォーメーションの定義(経済産業省)

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

DXにおいて良く事例として挙げられるのがタクシー配車の「Uber」や、「民泊」の仲介である「AirBnB」である。これらの会社はアナログサービスをデジタル化した訳ではなく、サービス提供そのものがデジタルである。 即ちDXは「「価値提供」のプロセスをシステム導入によって効率化する」という今までの取組の延長線にはない。もし真にDXが実現できるのであれば顧客への価値提供能力は飛躍的に向上し、 またその原資は人的労働力ではなく、デジタルとなる為、論理上は飛躍的に生産性を向上させる事が可能になる。

しかし、多くの企業の「DX」の取組は「クラウド導入」「AI導入」「RPA導入」「IoT導入」といった手段の話に矮小化されシステムベンダーの「新たな商売のネタ」になっているのが現状ではないだろうか・・・極論してしまえば、

サービスを取り巻く業務の多様化

既存の「タクシー会社」がデジタル技術各種と取り入れれば「Uber」のなるのか?既存の小売り業を営む会社がデジタル技術を取り入れれば「Amazon」になるのか?
という本質を見落としているのではないか? という事であり、この問いに明確に答えられないのであれば、それは「DX」ではなく、単なる「業務効率化」や「ホームページ制作」の延長でしかない。
とは言え、自社の価値提供能力向上にインターネットは無視できないのも自明である。この点にも沿って次項では「生産性向上の新常識」を考えたい。

生産性向上の新常識

ここまでお読み頂いた方は、インターネットによる市場環境の変化を前提とした「生産性向上(労働時間削減と価値提供能力の維持・向上」を考えなければならない。という事に気づいて頂いた筈だ。 重要な事は、下記二点である。

  • 今までの生産性向上の取組は「内向き」な「社内の対策」に留まる事が多く
    それだけでは「生産性向上」とは言えない。
  • 「外向き」な価値提供の取組として「DX」は具体論に欠ける

では、まずインターネットによる市場環境の変化とは何か?を考えてみたい・・・
キーワードは以下の3点である。

  1. モノからコト(サービス)
  2. サービスの明確化・デジタル化
  3. フロー型からストック型

1.モノからコト(サービス)

モノからコト(サービス)へという掛け声自体は2005年位には既に言われているが、IoTといった技術によってサービス提供の能力自体は企業は比較的容易に手に入れられる様になった。
ただし顧客側が物質的価値ではなく体験価値(CX)を重視するという事はBtoC企業に限った話でBtoB企業はあくまでも製品品質と価格による価値(物質的価値)が重要だと考える傾向が強く、IoTもイコール製造ラインのセンシング技術と捉える事が多い。 しかし、重機にGPSを組込み盗難対策を行なう。どの様なニッチな部品でも即納で揃える。納入後の故障をIoTを把握しコールセンターと連動、保守性を高め稼働率を向上。といった事は全てBtoBの話である。

例えば企業や自治体向けにバイオトイレを製造販売する大分県の株式会社ミカサ
社員10名程度の会社であるが、シンキングリードが提供するF-RevoCRMとIoTを組合せ提供する
バイオトイレの稼働状況、利用状況を把握し、故障の予防保全を行う事で、
モノの売切り型から脱却しサービス提供型の企業への変革を試みている。

2.サービスの明確化・デジタル化

元来サービスは曖昧模糊として、情緒的で価値基準が明確でないとされてきた。顧客側としてもサービスを受益する際には、例えばサービス提供者のブランドバリューと言ったものに対価を支払っており、ブランドは積み重ね(歴史)によって構築されるとされてきた。しかしインターネットを介したサービスにおいては、サービス提供は全て仕組化されており、価格も明瞭である。そこにはサービスが気に入れば「クリック」で申込を行い。サービスが気に入らなければ「クリック」をして解約する。という行為があるだけであり、解約するにあたって営業マンから解約のデメリットを滔々と説明される様な事はない。 そして多くの人、企業が後者(営業マン)を煩わしく思い、前者(クリック)を望む傾向があり、今後は更にそれが加速するであろう事は容易に想像がつく。

3.フロー型からストック型

上記株式会社ミカサの様に、売切り型のモノ売りフロービジネスから、サービス型のストックビジネスへの変革を目指す企業は少なくない。 『2』で示した通り顧客自身がそれを望む傾向があり、それをいち早く感じてとっているからである。企業における内部的(財務的)な欲求からフロー型よりストック型を目指す向きもあるが、 顧客ファーストの発想でなかった場合、それこそクリック一回で解約されてしまいビジネスの変革はとん挫する。またストック型のビジネスは常に顧客への価値提供を行っている状態を保つ必要があり、 フロー型の様に、内部のプロセスの最終アウトプットとしての商品という形ではなく、内部プロセスと顧客への価値提供が一体になる点も忘れてはならない。
即ち「モノ」を通じた「サービス」であったとしても「クリック」により製造をスタートし、価値提供は継続性を持つといった性質上から、内部プロセスは価値提供と一体となる。

この様に、インターネットの発展による市場-顧客の変化がもたらす「価値提供」の在り方を考えた時、顧客は単純なモノではなくサービスとしての価値提供を望んでおり、 且つサービスはより明確化されたものである。その前提においてビジネスの在り方はフロー型ではなくストック型になっていく。 重要なポイントは「顧客の欲求が変化している前提に立ち、その上で顧客が真に何を望んでいるのか?」を発想する事である。顧客が求めるサービスを考える時、 売り手の理論・企業内組織理論(提供サービス別、機能組織別) で顧客と接していては、顧客との距離は縮まることはないだろう。

即ち、生産性向上の新常識とは、内向きな議論になりがちな「生産性向上」を、顧客の変化も捉えた「顧客視点」からのサービス提供を考え、 その上で自社の価値提供プロセスを見直す事で生産性を向上させる取組と考える。

新常識実現のために

「顧客は誰か?」

シンキングリードではまず「顧客は誰か?」「自社の提供する価値の本質は何か?」をしっかりと定義する事からお勧めしている。 次に、その価値を提供するにあたって自社のプロセスがどうあるべきか定義する。 シンキングリードでは、この顧客への(有効な)価値提供をする為のプロセスをCRP(カスタマーリレーションシッププロセス)と呼んでいる。 CRPは内部のコスト削減のみ設計されたプロセスや(自社に都合の良い)、部門論理によるプロセスではなく、サービス提供のプロセスにおいて顧客が望む自社との関係性という視点で整理していく事がポイントとなる。 類似するものに「カスタマージャーニーマップ」があるが、カスマージャーニーマップが顧客体験を軸に、Webサイトの導線を検討するのに用いられるのと比較し、CRPは価値提供を軸に自社の全機能組織を横断して検討する点が大きく異なる。 ビジネスモデル自体を180度転換する様なDX。もしくはDXと言いながら単に既存のやり方の延長でのデジタル化ではなく、CRPを整理する事で、 価値提供している既存の市場-顧客からの変革のネタを探し、顧客に価値提供するにあたって自社のプロセスの無駄や、非効率な点を洗い出し改善する。この事により「生産性向上」(労働時間の削減と価値提供能力の向上)を望むべきと考えている。 CRPの検討はイノベーションを科学的に起こそうという様な難しい取組では決してない。 以下にCRPのまとめ方を記載する。

CRPのまとめ方

1.顧客を中心にして、会社の業務(営業・案件・受注・保守等)を考える。

2.自社業務プロセスを中心にして顧客の観点を考える。

  • 顧客の心理
  • 顧客が寄せる自社への期待
  • 顧客側のプロセス

3.顧客の観点をとらえた上で、自社の課題を考える。

  • 自社がとるべきアクション
  • アクションに対する目標値とKPI
  • 業務面での課題

これらをの問がすべて埋まったあとで、改めてシステムとして 取り扱うべき課題を考える。
そうすると、自ずと

  • 顧客に対し必要で管理しなければならない項目
  • 顧客と企業とで取り扱うべき項目
  • 社内業務として取り扱うべき項目
などが具体化する。ここまで整理ができるといわゆる「CRM」(カスタマーリレーションシップマネジメント)の重要性に気づくはずだ。

顧客中心の自社プロセス


顧客の観点を加味して管理する情報によって、自ずと各部門の社員がどう動くべきかが見えてくる。 動くべき行動も、各部門で仕組としてシステムで管理する事によって、社員は行うべきタスクに迷う事なく行動に移す事ができる。
そして、ようやく時間短縮、業務効率を上げることができるのである。

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顧客との関係性においての無駄を発見し 整理する。

上記の様にCRPを整理すると、様々な無駄が発見される。
例えば顧客とのやり取り(オーダー、仕様変更、サポート等々)において、 部署間の連携ができておらず、顧客を必要以上に待たせたり、手続きが煩雑で余計な手間を取らせているといった状態である。
これは社内プロセス上の問題であると同時に、顧客の不満を増幅させる要因でもある。 これらの問題は例えばWebサイトはマーケティング部門、商談-受注処理は営業部門、デリバリーは製造部門、保守はサポート部門、顧客接点となりうる部門がそれぞれに「生産性向上」と名を打った取組をしていても改善される事はない。 同様に、昨今は部門単位で簡単に導入できるクラウドアプリケーションが増えてきており、無計画にこういったツールを導入する事も、顧客視点からの全体最適を阻む要因となる。 自社のCRPをまとめた上で顧客情報の管理基盤を整えてから、顧客にとっても利便性が高くなる業務を、必要に応じてデジタル化していく方が有効である。

生産性向上の新常識まとめ

  • 「生産性向上」は内向きな社内の取組になりがちであり、それだけでは有効性が低い。
  • DXの様に、ビジネスモデル自体をドラスティックに変える前提であると、デジタル化が目的化してしまう可能性が高い。
  • 顧客視点から部門横断で、サービスの観点から自社プロセスを見直す・同時に「顧客はデジタルによる接点を求めている」という前提に立ち、顧客接点のデジタル化を行っていく。
  • 顧客接点のデジタル化において重要になるのは全社での顧客接点基盤の整備を先に行う事。
  • 顧客視点から部門横断で業務の不都合、無駄を見つけていく。

新常識実現において顧客管理システムの有効性

部分的な管理ではなく、顧客を中心とした全体的な管理を可能にしている顧客管理システム(総合型CRM) が注目されるのは、これまで述べてきた新常識の実現に非常に有効であるということも理由の一つとなるだろう。 シンキングリードが提供するF-RevoCRMはマーケティング、営業、プロジェクト管理、問合せ管理、購買発注管理など顧客接点となりうるモジュールを全てオープンソースとして提供されている。 CRM導入においは営業部門のみで活用というのは有効性が低い。その一方で様々な部門で横断的に利用を検討すると必ずネックとなるのが費用の問題である。 オープンソースのF-RevoCRMであれば、ユーザー単位での課金ではないので利用者数を気にせず活用する事ができる。またオープンソースであるが故他システムとの連携も柔軟に行う事ができる。 シンキングリードではCRPの整理からのお手伝いもさせて頂いているので「生産性向上」に取り組まないといけないと感じておられる方は是非一度問合せをして頂きたい。