中小企業を中心に、「自社はエクセル(Excel)管理で十分」「現状エクセル(Excel)管理で事足りるが将来的にはシステムに移行すべきか思案中」など、
『エクセル(Excel)管理かシステム化を進めるか』を検討する動きは中小企業においても多く見られます。
顧客管理は工夫次第で業務全体を効率化できる可能性を持つ反面、自由度が高すぎるためどう管理したらよいか頭を抱える部分でもあります。
さらに年々管理する情報量は膨れ上がり、ただ情報を記録するだけでは、十分な分析や企画立案を行うことは難しいのが現状です。
そこで今回は、エクセル(Excel)管理における業務のメリット・デメリットを考え、顧客管理のシステム化が有効かどうかを考察していきたいと思います。
エクセル(Excel)は、Windowsのパソコンであればすでに搭載されています。
表計算はもちろんグラフや帳票なども簡単に作成でき、名簿や見積をはじめ分析資料・プレゼン資料等々、あらゆる業務に適用します。
操作方法が分からなくても、webサイトでノウハウや無料のテンプレートも多数公開されているので、上司やお客様への説明用の資料作成時には最適なツールといえます。
顧客情報を入力できるフォームを作成して別シートへ蓄積したり、ボタン一つで期間中の売り上げ変動のグラフを作成できるといった使い方も可能で、システム感覚でどんどん作り込まれます。すると顧客登録やグラフ作成は簡単に誰でもできる反面、機能の詳細は作成者でないと分からない状況が発生するかもしれません。
さらに作成者が異動や退職してしまっては、少し不都合があっても使い続けるしかない状況に陥ってしまいます。
いくら業務効率化を進めようと思ってもなかなか顧客管理のシステム化には踏み切れない理由はこんな事情もあるのではないでしょうか。
このように、エクセル(Excel)はシステムから抽出したデータを細かく分析したり分析結果を共有して閲覧するなど、個人的な業務効率を高めようとする場合はこの上ない強い味方になるでしょう。
このように、企業規模の拡大や、高度な分析、社内での情報共有・編集が目的の場合、いつかはエクセル(Excel)管理の限界は訪れます。
上図は実際にシステム移行を行った企業の移行前の管理状況です。この企業は顧客情報や営業関連、請求関連、日報と4つのエクセル(Excel)でそれぞれ管理しており、それらは連動していませんでした。請求関連の業務と顧客データが紐づいていないので、請求書作成時に確認するエクセル(Excel)が複数になってしまいます。さらに、業務の進捗状況を日報にて改めて作成する必要があるため、全体的にエクセル(Excel)入力に長時間費やしてしまいます。
このような例の場合、CRMシステム(※1)導入により、以下のような効果が期待されます。
システム移行することで、入力や確認の手間を大幅に省く事ができます。
さらに顧客情報を社内で共有することができるため、他業務や上司への連絡・報告作業の時間短縮にもつながります。
また、エクセル(Excel)を提供しているMicrosoft Windowsが、2020年1月14日にWindows7のサポートを終了したこともCRMシステム移行を考えるきっかけになっていると考えられます。もちろん、Windows7サポート終了しても、お使いのエクセル(Excel)バージョンが使えなくなるわけではありませんが、新しいWindows10が月額制のOffice365への移行を推奨しているため、使用しているofficeのバージョンによっては操作環境が異なる場合があるとされています。
1:CRMとはCustomer Relationship Management(顧客関係管理)の略。
データ移行や費用面を考えると、顧客情報のエクセル(Excel)管理をシステム化するのは大きな弊害があると考えてしまいがちです。
しかし、近年国を挙げてIT化の推進に取り組む局面を迎え、システム化のニーズは最高潮を迎えているのが現状です。
顧客管理(CRM)システムや営業支援(SFA)システムなど、エクセル(Excel)に代わる高機能なシステムは有料・無料問わず数多く紹介されています。顧客データ量や業務内容を吟味した上でシステム化する事も、働き方改革・企業改革を見据えた第一歩といえるのではないでしょうか。